こどものワクチンの知識を
高めましょう

専門医監修によるこどもワクチンの基礎知識をまとめたものです。感染ルートや症状、乳幼児が感染した場合にどうなるか、副反応はどうなのかなどをわかりやすく解説しています。

こどもワクチンの
基礎知識

ロタウイルス

ロタウイルス

ロタウイルスワクチンを経口接種します。日本では、2011年11月と2012年7月にワクチンが発売になりました。

根本的な治療法はありませんが、ワクチンで重症になるのを約90%防ぐことができます。
WHO(世界保健機関)は、ロタウイルスワクチンを子どもが接種する最重要ワクチンのひとつとして推奨しています。

ワクチンの種類により接種スケジュールが異なりますが、初回に受けたワクチンの必要回数を接種し、途中でワクチンを変更することはできません。
いずれのワクチンも生後6週から経口接種でき、4週間隔で2回または3回接種します。
接種できる期間が短いので、初回接種をできれば生後2か月の誕生日、遅くとも生後3か月半過ぎ(生後14週6日)までに受けるようにしましょう。

ロタウイルス胃腸炎は、「ロタウイルス」というウイルスの感染によって起こります。
ロタウイルスは世界中に分布し、国の衛生状態に関係なく5歳までにほとんど全ての乳幼児が感染すると考えられているほど、ごくありふれたウイルスです。
乳幼児下痢症の原因の多くはロタウイルスで、これは世界中どこも同じです。何回かかかることはありますが、2回以上かかると重症化する可能性は低くなるので、ワクチンも2回以上接種します。
感染力が強く、保育所などでもあっという間に流行します。手洗いなども大切ですが、完全に伝染を抑えることはできません。

ロタウイルス胃腸炎の多くは発熱と嘔吐に続き下痢を起こし、回復には1週間ほどかかります。
ほとんどの場合は特に治療を行わなくても経口での水分や電解質補給だけで回復しますが、脱水、腎不全、痙攣や脳炎・脳症といった中枢神経症状などを合併することもあり、重症化すると入院が必要となることもあります。
日本でのロタウイルス胃腸炎の発症は冬~春に多く、主に生後3~24ヵ月の乳幼児に起こります。
生後3ヵ月までは、母親からもらった免疫によって感染しても症状が出ないか、症状があっても軽度ですみますが、生後3ヵ月以降に初めて感染すると重症化しやすくなります。
ロタウイルスは非常に感染力が強く、少しのウイルスが体に入っただけでも感染し発症します。
衛生環境を改善しても感染を完全に防ぐことができないので、ワクチン接種によって重症化を予防します。