こどものワクチンの知識を
高めましょう

専門医監修によるこどもワクチンの基礎知識をまとめたものです。感染ルートや症状、乳幼児が感染した場合にどうなるか、副反応はどうなのかなどをわかりやすく解説しています。

こどもワクチンの
基礎知識

三種混合ワクチン

DPTとはジフテリア(D)百日せき(P)破傷風(T)の3種類の病名の頭文字を繋いだワクチン名です。

別名では三種混合ワクチンと呼ばれ、日本では1981年に導入されました。

接種の開始時期と回数

接種は生後3ヶ月から可能で、接種回数は4回必要です。

1回目の接種から3回目までは、それぞれ20-56日(3-8週)ほど間隔をあけます。3回目から4回目は6か月以上あけ、標準的には3回目が終了した後、12-18か月の間に4回目を接種します。

学童期以降に百日せき予防の目的で任意接種をする場合

乳幼児期に4回接種した後は6ヶ月以上あけ、5歳以上7歳未満に5回目として接種します。6回目は11〜12歳に接種します。

ワクチンの内容

DTPの中身は、ジフテリア(D)百日せき(P)破傷風(T)の病気に対する免疫を付けるための不活化ワクチンです。

ジフテリア

ジフテリア菌の飛沫感染で、のどや鼻、目の粘膜に起こる病気です。

感染ルート:保菌者からの飛沫感染です。
ジフテリアは感染しても10%程度の人に症状が出るだけで、残りの人は保菌者となり、その人を通じて感染することがあります。
症状:高熱、のどの痛み、咳、嘔吐(おうと)などで、窒息死に至ることもあります。
乳幼児が感染した場合:上記の症状と同じです。

1981年にジフテリアを含んだDPT(三種混合)ワクチンが導入されて以降、ジフテリアに罹った患者は国内では発生していません。ですがロシアでは、ワクチン摂取率の低下による流行が1990年代前半にありました。このように海外で流行している病気が渡航などで持ち込まれ、国内で流行する危険性もあります。予防接種を続ける理由はこうした海外からの病気の流入があっても免疫をつけて抵抗するためです。

百日せき

百日咳菌の飛沫感染で肺や脳に起こる病気です。

感染ルート:保菌者からの飛沫感染です。
ジフテリアは感染しても10%程度の人に症状が出るだけで、残りの人は保菌者となり、その人を通じて感染することがあります。
症状:普通のカゼのような症状からはじまり続いて咳がひどくなり、顔をまっ赤にして連続性にせき込むようになります。熱は出ないか出ても微熱程度です。
乳幼児が感染した場合:咳で呼吸ができず、チアノーゼやけいれんが起きたり、肺炎や脳症などの重い合併症を起こしたり、死亡することもあります。

1956年から百日せきワクチンの接種がはじまり、患者数は減少しています。
当時の百日せきワクチンは全菌体のものでしたが、現在のワクチンは副反応の少ない菌の成分を生成したものです。
1970年代後半に予防接種率が低下し、患者が多数出て、113名の死者を出しました。
近年でも、年長児や成人の百日咳流行が問題となっており、乳児への感染源として注意が必要とされています。

破傷風

患者の半数は自分では気がつかない程度の軽い傷から重症化する病気です。

感染ルート:土の中にひそんでいる破傷風菌が傷口からヒトへ感染します。
症状:体の中で菌が増えると、菌の出す毒素のために、口が開かなくなったり、全身性のけいれんをおこしたり、呼吸困難により死亡することもあります。
乳幼児が感染した場合:上記と同じです。

1956年から百日せきワクチンの接種がはじまり、患者数は減少しています。
当時の百日せきワクチンは全菌体のものでしたが、現在のワクチンは副反応の少ない菌の成分を生成したものです。
1970年代後半に予防接種率が低下し、患者が多数出て、113名の死者を出しました。
近年でも、年長児や成人の百日咳流行が問題となっており、乳児への感染源として注意が必要とされています。

ワクチン接種でのみ免疫が出来ます。

日本中どこでも土中に菌はいますので、予防接種をうけていないと感染する機会は常にあり、年間100人くらいの発生があります。

DTPワクチンの接種回数が途中の場合の注意点

DPTにポリオ(IPV)を組み合わせた、DPT-IPV(四種混合)ワクチンが2012年11月に定期接種として導入されました。これに伴いDPTは販売中止されましたが、2018年1月に再販され、使用可能になりました。
学童期以降の任意接種を推奨日本小児科学会はこの再販を受け、就学前児の百日せきの抗体値が低下している状況を考慮し、学童期以降の百日せき予防を目的とした場合においてDTPの接種を推奨しています。(任意接種)
DTPワクチンや単独のポリオワクチンの接種から、DTP-IPVワクチンの接種に途中から変更となる場合はポリオワクチンの接種が5回以上にならないよう、予防接種スケジュールで回数をチェックし、かかりつけ医師に確認しましょう。