こどものワクチンの知識を
高めましょう

専門医監修によるこどもワクチンの基礎知識をまとめたものです。感染ルートや症状、乳幼児が感染した場合にどうなるか、副反応はどうなのかなどをわかりやすく解説しています。

こどもワクチンの
基礎知識

ヒブ

ヒブ

ヒブワクチンは世界から20年も遅れて2008年に発売になったワクチンで、2013年度から定期接種として日本の子どもが接種できるようになりました。
生後6ヵ月以降からかかる赤ちゃんが増えますので、『生後2ヵ月の誕生日』になったらできるだけ早く接種します。

ワクチンの接種回数は初回を接種する月齢・年齢により異なりますが、標準的なスケジュールは生後2ヵ月から6ヵ月までに初回接種を開始し、合計4回接種します。
ヒブによる細菌性髄膜炎が起こりやすい生後6ヵ月までに初回3回の接種を済ませておき、追加接種は1歳になったら受けることをおすすめします。
生後2ヵ月から小児用肺炎球菌、B型肝炎、ロタウイルスワクチンなどとの同時接種が可能です。

ヒブワクチン導入前の日本では、年間約600人が重いヒブ感染症である細菌性髄膜炎になっていました。
細菌性髄膜炎は毎年約1,000人がかかっていましたが、60%がヒブによるものでした。
ヒブ感染症が比較的多かった欧米では、小さな子どもにも有効なワクチンが1980年代に開発され、定期接種に組み込まれた結果、この病気が99%減少しました。

細菌性髄膜炎にかかった子どもの約66%は0~1歳児で、約34%は2~4歳児です。
生後5ヵ月頃から急に増え、集団保育の子どもは2~3倍かかりやすいと言われています。

ヒブ(Hib)とは「インフルエンザ菌b型」という細菌の略称で、冬に流行するインフルエンザ(流行性感冒)の原因である「インフルエンザウイルス」とは(名前は似ていますが)全く別のものです。
ヒトからヒトへ飛沫感染します。

ヒブが原因で起こる病気の主なものには髄膜炎、喉頭蓋炎、肺炎、敗血症などがありますが、最も多いのが髄膜炎です。
髄膜炎は、脳や脊髄を包んでいる膜(髄膜)に細菌やウイルスが感染して起こる病気で、日本ではヒブによる髄膜炎は一年間に約600人程度が発生しており、5歳未満の乳幼児がかかりやすく、0~1歳までは特にかかりやすいので注意が必要です。

ヒブによる髄膜炎は1ヵ月程度の入院と抗菌薬による治療が必要となりますが、治療を受けても約5%が死亡し、約25%に発育障害(知能障害など)や聴力障害、てんかんなどの後遺症が残ってしまいます。
初期症状は発熱や嘔吐、不機嫌、けいれんなどで、一見風邪などの他の病気の症状と似ているために早期診断が難しく、適切な治療が遅れることがあります。そのためにもワクチンによる予防が重要です。