HPV
ワクチンの種類により接種スケジュールや予防できる感染症が異なりますが、いずれのワクチンも性行為開始前に接種を始めることが望ましく、半年間で3回、筋肉注射で接種します。
中学1年生になったら3回受けるようにしましょう。推奨年齢は小学6年生~高校1年生の女子です。
この時期には二種混合(DT)ワクチンの接種もありますし、B型肝炎ワクチンを一緒に接種することも出来ます
HPVワクチン接種により約70%の子宮頸がんを予防できるとされていますが、このワクチンで防げない52、33、58型のウイルスも子宮頸がんの原因ですので、併せて子宮がん検診を受けることも大切です。
検診を受ける率は、欧米では約80%ですが、日本ではなんと約20%とたいへん低いです。
ワクチンを受けた方でも20歳過ぎたら必ず子宮がん検診を受けましょう。両ワクチンともに、効果は20年くらい続くと予想されており追加接種は不要といわれており、その効果は日本より7~8年前からワクチン接種をはじめた欧米の結果を参考にしています。
接種の推奨年齢以上の女性も受けることができますので、日本では検診を受ける人が少ないこともあり、45歳までの方にすすめられています。
HPV(ヒトパピロ-マウイルス)は、ヒトの皮膚や粘膜に存在するごくありふれたウイルスであり、現在100種類以上の型が知られています。
粘膜に存在するHPVのうち、発がん性の高い型は子宮頸がんなどを、発がん性の低い型は尖圭コンジローマなどを引き起こします。
日本では毎年約15,000人が子宮頸がんになり、約3,500人が死亡しています。
たとえ死亡に至らないまでも、ごく初期のがんを除いては子宮摘出となる可能性が高く、その場合妊娠や出産ができなくなるだけでなく、排尿障害などの後遺症により日常生活に支障をきたすこともあります。
子宮頸がんは、近年20代~30代で急増しているのが特徴で、これから結婚や出産を迎える年代にとっては特に深刻な病気です。
子宮頸がんは、発がん性の高いHPVの持続的な感染が原因となって発症しますが、HPVの子宮頸部への感染はほとんどが性交渉によって子宮頸部粘膜に微細な傷が生じ、そこからウイルスが侵入して感染します。
子宮頸部のHPV感染は、約99%以上の方は知らない間にかかって知らない間にウイルスが消えていますが、約10%の方は細胞にがんでは無い異常が見られ、約4%の方は前がん状態になり、普通はゆっくりと本当のがんに進行します。
前がん状態からでも、自然に正常に戻ることが多いのですが、最終的に0.1~0.15%の方(毎年1~1.5万人)が子宮がんになります。
HPVの感染は非常に一般的ですが、子宮頸がん発症に至るのはごく稀です。
しかしHPVに感染した後にどのようなタイプの人が子宮頸がんを発症するかは不明なため、子宮頸がんを発症する可能性は誰にでもあることになります。
HPVが子宮頸部に感染してから子宮頸がん発症までは数~十数年間を要するので、この間に子宮頸がん検診によって前がん病変を早期発見し、治療することができます。
また、原因であるHPVの感染を予防するワクチンが定期接種となりましたので、ワクチンと検診で子宮頸がんを予防することが重要です。